コンセプト

2015年の9月、小豆島町三都半島の神浦(こうのうら)地区、吉野地区、蒲野地区を中心として、彫刻家やアーティストら10名が、地域社会や風土、歴史に触れながら立体作品を制作し、それぞれの地区の中に展示します。休耕地に大型の野外彫刻作品を設置したり、空き家を再利用したアート作品などを展開します。

三都半島は、小豆島の中にあっても特に三方を瀬戸内海に囲まれた半島という地勢的背景のなかで、それぞれの集落はそれぞれの海路で外界と繋がっていました。現在でも特に神浦地区では、亀山八幡宮例大祭での勇壮な伝統行事「オシコミ」の際には奉納する太鼓台を網船に乗せて、池田まで海路で訪れます。

また、瀬戸内海沿岸は古来より海上交通の要所として栄え、帆船が主流の時代には各地に「潮待ち」「風待ち」のための停泊と滞在場所がありました。そこでは様々な思惑の人々が、様々な目的地を持ちながら一つの場所に留まることで、独特な文化を形成していきました。

本展覧会のタイトル「潮耳荘」とは、地域社会との交流、滞在制作、研究や取材など通して、小豆島三都半島という地域の持つ歴史や風土、地勢に根ざしたアートプロジェクトを継続的に展開するための交流の場を意味します。

地域に生きる人々の視点と、外部からの来訪者の視点を相互に交差させながら、アートを通じて三都半島のもつ魅力と可能性を再発見していくことを目指します。